大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ラ)348号 決定

抗告人は「原決定を取消す。長野地方裁判所昭和二七年(モ)第三四八号裁判官忌避申立事件による裁判官忌避の申立は理由あり」との裁判を求め、

その理由として、

一、本件忌避申立の理由は、長野地方裁判所昭和二七年(モ)第三四八号裁判官忌避申立事件において主張した通りであるが、原審裁判所の決定は、抗告人(申立人)が昭和二十七年九月二日附で追加した忌避の原因について、全然審査しないで却下したのは納得できない。

二、裁判官は当事者立会いの上でないと、裁判を進めることができないのに、それをしなかつた。

三、疏第三号証のとおり、間違つた検証の記録は、再検証して正しく訂正し、証人の重要なる証言が記録に記載されなかつたときは、その時に立会つた樋口書記官を証人として、その事実を立証させ、正しい記録を作つた上で審理を進めるのが公正な裁判である。

四、証人西尾寅男は原告小野まさの夫であり、証人小野勧一郎は原告小野まさの長男であつて、その訴訟の被告となつている抗告人にとつては、最も大切な尋問事項であるにかかわらず、裁判官は抗告人の願いを全部却下した。

五、原告小野まさと抗告人との間に繋属中の訴訟において、右原告は登記に使用した印鑑が違うと強く主張しその印鑑の鑑定については、再度異議の申立をしたけれど、裁判官は受け入れず、最後に昭和二十七年九月十三日附準備書面で、その異議を繰り返したけれど、これをも無視して口頭弁論を終結したのであるが、これでは正しい裁判のできる筈はない。

六、長野地方裁判所では本件忌避の申立が理由なしと裁判せられるや、その決定正本が申立人(抗告人)に送達せられたのは、昭和二十七年十月二十六日であつて、まだ即時抗告期間中であるのに、裁判官は原告小野まさと抗告人との間に繋属中の訴訟について、翌二十七日判決の言渡をしたが、これは民事訴訟法第四二条の規定を無視したものである。

七、以上のように公正を妨げる事実が数あるのに、これを理由なしとして忌避の申立を却下したのは、納得できないから、本件抗告に及んだ次第であるというのである。

よつて按ずるに、抗告人が忌避の申立をした長野地方裁判所上田支部昭和二三年(ワ)第四一号売買無効確認等請求事件は、その事件の被告である抗告人において、控訴の申立をした結果、その訴訟は現に東京高等裁判所に繋属中なるところ、その記録によると、一人の裁判官としてその審理に関与した裁判官鈴木敏夫に対し、抗告人から忌避の申立があつたに拘らず、同裁判官はその申立に対する裁判の確定前である昭和二十七年十月二十七日終局判決の言渡をしたことが明かである。

ところで忌避の申立があれば、その申立についての裁判の確定するまでは、判決することはできないものであるけれども、それにも拘らず判決がなされたときは、忌避の申立はこれがために当然その理由を失い、申立は棄却を免れないものと解すべきである(大審院昭和五年八月二日決定参照)。

かように考えると本件忌避の申立は、その点においてすでに棄却せらるべきものであるから、抗告人の主張する他の抗告理由について判断するまでもなく、本件抗告は理由がないから、これを棄却すべきものとする。

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